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誰よりも君を愛する
第33章 嫉妬
通りの向かいにあるカフェのテラス席に座った二人を良雄はクラブ探しそっちのけでゴルフショップのウィンドウ越しから見ていた。
和也はさり気なく亜矢子の肩に触れたり、頭を撫でたりと幼なじみとはいえ今は人妻の亜矢子に馴れ馴れしい‥
和也がポケットからスマホを取り出して亜矢子も自分のバックをゴソゴソ探り出した‥
良雄は急いでゴルフショップを走り出て慌てて亜矢子に声を掛けた。
『はあはあ、亜矢子お待たせ‥』
『早かったですね、良いのありましたか?』
『いや、また今度さがすよ、楽しんでる?』
和也はスマホをテーブルに置き亜矢子はバックの中の携帯を探すのを一旦やめた。
『何の話ししてたのかな?(笑)』
『子供の頃の話しですよ』
亜矢子に聞いたのに和也が口を挟んだ。
『へぇ、君たちそんなに仲が良かったのかい?』
『私、一人っ子だったから和也さんが本当のお兄ちゃんのように遊んでくれてたんですよ』
恐らく、亜矢子の電話番号を聞こうとしていた話題は間一髪防げた事に良雄はひとまず安堵した‥
『遊んだってゆうより面倒みてた、って感じですよ(笑)』
『面倒を?』
良雄の嫉妬のアンテナがピクリと反応した‥
『ええ、とにかく亜矢子ちゃんは泣き虫で‥オレはいつもハンカチを持ち歩くようにしてましたよ(笑)』
『私、そんなに泣き虫だった?』
『ああ。ほら、子供会で行ったキャンプ覚えてる?初参加の亜矢子ちゃん夜に泣き出しただろ?で‥夜中におねしょして(笑)また泣いて‥』
『あ、そんなこともあったかも‥それ以上言わないでぇ‥』
亜矢子は幼少の頃の話が恥ずかしいのか和也の話しを遮ろうとした。
‘おねしょ’と聞いて良雄の嫉妬のアンテナが立ち上がった‥
良雄は亜矢子の過去を得意気に話す和也が益々忌々しい‥
『ホームシックでおねしょかい?可愛いじゃないか亜矢子‥(笑)』
『ええ、それで夜中にコッソリお風呂に行って‥俺がお尻洗ってやったの忘れたのか?イチゴ柄のパンツも洗ってあげたんだぞ(笑)』
『覚えてないわ…そんなこと』
『着替えもさせて、布団も濡れたからって、俺の布団で朝まで寝かせたよな(笑)』
『もうやめてぇ‥あの頃はごめんなさい(笑)』
思い出話に花を咲かせている二人を横目に良雄の心は和也に対する憎悪に燃えていた。