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誰よりも君を愛する
第34章 嫉妬②
約束の時間に15分程遅れて亜矢子の実家に着くと玄関では亜矢子の母親に加えて和也も出迎えた‥
『やあお義母さん、ご無沙汰してすみません‥お元気でしたか(笑)』
『ええ、お陰様で‥どうぞ入って』
『先日はどうも‥やあ、亜矢ちゃん(笑)』
早速和也が話に割り込んで来た‥
当たり前のように家族を出迎える馴れ馴れしさに良雄も早速憤慨する。
『旦那様ぁ早く入りましょう』
亜矢子は脱いだ良雄の靴を揃えて和也の前でも堂々と良雄の手を握り茶の間へと引っ張ってゆく‥
入るとちらし寿司と唐揚げが並んでいた。
亜矢子は母親を手伝いに台所へ行き、良雄は和也と二人になった。
『おばさんの唐揚げ食べたことありますか?美味いんですよね~これ!小さい頃よく亜矢ちゃんと取り合いしました(笑)』
『そうなんですか‥ところで和也君の家はここから‥』
『聞いてないですか?‥そこですよ』
和也はベランダから見えるすぐ目の前の家を指差した‥
(こんな近く‥)
『ああ、それじゃあ何でも知ってるはずだ(笑)』
亜矢子と母親が飲み物と料理を運んできて会食が始まると会話は和也の独壇場となった。
良雄は和也の自慢話を聞きながら時々亜矢子が台所に行くと和也がさり気なく台所へ向かうのが気に障った。
(っ‥あいつ‥)
良雄は亜矢子の旦那と言えどもまだ気心が知れていない義母の手前、ズカズカと台所にまで入って行けるような行儀の悪い図々しさはない‥
『良雄さん、亜矢子はちゃんとやってますか?』
『はい、こんな僕には勿体無いくらい良くやってくれてます。‥入籍を急がせた事、申し訳ありませんでした‥年内中には結婚式を考えてますから‥』
『あの子、結婚して明るくなったわ‥幸せそう。良雄さんのお陰ね、ありがとうございます‥これからもお願いします』
まだ慣れない二人が恐縮しながら頭を下げながら話しているのを台所から戻った和也が見て笑った‥
『あーあ、俺の栄転があと半年早かったらなあ~俺がおばさんの娘婿だったよね~?』
『ええっ?さあどうかしら?』
『私、カズお兄ちゃんとは結婚なんてしないわよーだ!』
実家に戻った亜矢子は子供みたいな言い方で良雄の後ろに隠れて和也に反論した…
(よく言ったぞ亜矢子!)