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誰よりも君を愛する
第35章 パパ
ポロポロと泣いている亜矢子に困った義父は亜矢子の頭を優しくポンポンと撫でた‥
『突然叱ってすまなかったね、』
『そうだよ父さん、嫁イジメだぞ!(笑)』
『いいえ、なんだか本当の父親に叱られたようで‥嬉しくって‥私は一度も父に叱られたことがなくて‥‥』
『わたしは心から本当の娘が出来たようで嬉しいんですよ。‥』
『本当ですか?お義父さん‥嬉しい』
『ああ、どこかの好き勝手やってる息子より可愛いよ‥』
その後の2人は良雄も妬くぐらい話をして、大いに笑い、仲良くデザートを食べて、2軒目にカラオケで楽しそうにデュエットを歌っていた。
帰りの車中、亜矢子は酔いとはしゃぎ過ぎで寝てしまった‥
実家の前で父親を降ろした良雄は父親を追いかけるのに車を降りた‥
『父さん、今夜はありがと‥あれ、わざとだろ?』
『ああ、あれは当たり前の事を叱っただけだ。‥ただお前の話を聞いて、亜矢子さんの生い立ちを考えると、もしかして‥と思ったんだ。甘やかすだけが愛情じゃないんだ。‥お前さんも親になればわかるさ(笑)
ま、亜矢子さんのファザーコンプレックスは父さんに任せてお前は夫の務めを果たしなさい。』
良雄は最近の亜矢子の幼児帰りのような変化を長く大学病院で心療内科医をしてきた父親に相談していたのだ
亜矢子は溺愛されながら良雄と亡くなった父親を重ねていたが
退行催眠により幼少期から思春期の自分を見つめ直したことによって反抗期に反抗したい相手が居なかった寂しさと、苦労している母に反抗してはいけないと抑制していた心を思い出したのかも知れない‥
良雄に叱って欲しくて知らず知らずわがままを言っていたのかも知れない。
この義父との食事以来、亜矢子のおねしょは完全に治った‥