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獣戦記 §ju-senki§
第3章 レアン王
レアンはムツキに手を貸し立ち上がらせると、暫しその姿を眺める
「あ、あの・・・?」
「ようやく貴殿をこうして抱き締められる・・・」
戸惑いを見せる言葉は半ば強引なレアンの抱擁によって途中で途切れた
あまりに突然の出来事で、温かい体温とモフモフの毛に包まれながら頭が追いつかないムツキは瞳を瞬き、されるがまま抵抗もしないでいた
「え・・・ようやく、って・・・?」
言葉の意味がよく分からず問い掛けたムツキだが、今度は傍に控えていたキヨの咳払いによって途切れた
「ぅおっほん!レアン様、ムツキ様は長旅でお疲れなのですぞ。それに事には順序というものがございましてな、出会ったその日にそういう事をするのは」
「分かった分かった、キヨの小言はいつも長い、姫王子殿の為にもそれぐらいで終わらせてくれ」
長々と続くであろうキヨの言葉に、レアンは肩を竦めると抱きしめていた腕を解き、ペコリと頭を下げた
「すまなかったムツキ殿。さぁ、キヨの言う通り長旅で疲れているだろう・・・城には貴殿の部屋も用意してある、ゆるりと休まれよ・・・」