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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!
 
 俺が知る限り彼の情は厚く、簡単にあっちが駄目ならこっちと乗り換えるタイプには思えないから、余計彼の笑顔が辛い。
 前なら彼に対して感じずにいた感情を、今俺が持ってしまっているのは、俺の中の結城さん像が好ましいからだ。

 それに気づかないふりをして、彼がまだ陽菜を諦めていないことを確認したくない俺は、誤魔化すようにビールを飲んで、彼に答える。
 
「どうして、これからも月一回飲むと言えるんです?」
「鹿沼は男の所有物に収まらない女だからだ。それは真下も三上もそうだけど」
「随分と、理解していますね、陽菜のこと」

 俺はまた一口ぐびりとビールを飲む。

「お前、俺達の付き合いを舐めるなよ?」

 ……それはどう受け取るべきか。

 誰よりも理解しあっている友達として?
 それとも、セックスをしていた男として?

 俺が踏み込めない親密さがまだあると言いたいのか。
 それとも――。

「――って、真下に言ったらさ、怒られながら泣かれた。いつも通りの台詞だったのにさ、どうも俺が鹿沼を好きだったことが、あいつの不安を煽っているらしい」

 結城さんは苦笑いをしてビールを呷る。

「だから鹿沼から距離置いてあいつの傍にいても、まだ鹿沼を特別意識しているからだと言うし、だったらいつも通りにしたら怒るわ泣くわで。俺はどうすりゃいいんだろうね?」

 と俺を見るから、俺は思いきり眉間に皺を寄せて聞いてしまった。

「まさか俺に、恋愛相談してます?」
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