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えっちな姉は俺の成長を喜んでいるらしい
第10章 エピローグ 未来へのウェディングドレス
そんなこんなで、新学期が始まった。
俺は鞄の中に始業式でもらった表彰状を仕舞いこんで帰路についた。
水泳部員として出場した、県大会の表彰状である。
(5位入賞、ね)
我が校としては誉れ高い順位なのではあろうが、残念ながら全国大会へは進めない順位である。
しかし俺は、悔しいという気持ちよりもむしろ、肩の荷が降りてホッとした気持ちの方が強かった。
それは多分、俺自身にそこまで登り詰める度量がない故であろう。
あんまりギラギラと物事に取り組むタイプではないから……。
そんなことを考えながら、俺はついに我が家へと戻ってきた。
そして俺が玄関で靴を脱ぎ、自分の部屋へと向かう時にその異様な光景が目に入った。
「……!?」
姉貴の部屋の扉に僅かに開いた隙間から、その部屋の主の姿が見えた。
姉貴は真っ白なドレスを着ていた。
装飾はないがそのAライン(だったか?)に(確か)ハートカット(と言ったか)を組み合わせたその形は、ほぼ間違いなくウェディングドレスであろう。
多分、仮縫い段階のものと推測できる。
「な、何それ?」
そんな姉貴と目が合った俺は、動揺しつつ率直に疑問を投げた。
とはいえそんな俺でも、このドレスの出所は察しがつく。
「あぁ、これ。お父さんとお母さんからのプレゼントだ」
そんな俺とは対照的に、姉貴は飄々としている。
「まぁ、そうだろうね……」
親がウェディングドレスのデザイナーをしているのだ。
そうに決まっている。
「この前サイズを測って貰ったんだけど……いくらなんでも気が早すぎる」
姉貴は呆れていながらもどこか嬉しそうである。
だけど俺は、その姿に言い知れぬ淋しい感情を覚えた。
「やっぱ、親は結婚を望むもんだよな」
「?」
「いや、いくら好きあってても、姉弟じゃ結婚とかできないわけじゃん? なんていうか、それが……」
今日の今日まで、未来のことを考えたことがないわけじゃない。
だけどそんな未来の姿が具体的な輪郭を持って近づいてくると、途端に足が竦んでしまうのである。
「もしも姉貴に、そのドレスを一緒に着たい人ができたらって……考えなくもない」
俺は考えたくもない未来から目を背けるように、俺は俯いて床を睨み付けた。
しかしそんな俺の視線を遮るように、姉貴が俺の視界に上目遣いで入ってきた。
「まさか、お前は私以外の相手と添い遂げる腹積もりなのか?」
俺は鞄の中に始業式でもらった表彰状を仕舞いこんで帰路についた。
水泳部員として出場した、県大会の表彰状である。
(5位入賞、ね)
我が校としては誉れ高い順位なのではあろうが、残念ながら全国大会へは進めない順位である。
しかし俺は、悔しいという気持ちよりもむしろ、肩の荷が降りてホッとした気持ちの方が強かった。
それは多分、俺自身にそこまで登り詰める度量がない故であろう。
あんまりギラギラと物事に取り組むタイプではないから……。
そんなことを考えながら、俺はついに我が家へと戻ってきた。
そして俺が玄関で靴を脱ぎ、自分の部屋へと向かう時にその異様な光景が目に入った。
「……!?」
姉貴の部屋の扉に僅かに開いた隙間から、その部屋の主の姿が見えた。
姉貴は真っ白なドレスを着ていた。
装飾はないがそのAライン(だったか?)に(確か)ハートカット(と言ったか)を組み合わせたその形は、ほぼ間違いなくウェディングドレスであろう。
多分、仮縫い段階のものと推測できる。
「な、何それ?」
そんな姉貴と目が合った俺は、動揺しつつ率直に疑問を投げた。
とはいえそんな俺でも、このドレスの出所は察しがつく。
「あぁ、これ。お父さんとお母さんからのプレゼントだ」
そんな俺とは対照的に、姉貴は飄々としている。
「まぁ、そうだろうね……」
親がウェディングドレスのデザイナーをしているのだ。
そうに決まっている。
「この前サイズを測って貰ったんだけど……いくらなんでも気が早すぎる」
姉貴は呆れていながらもどこか嬉しそうである。
だけど俺は、その姿に言い知れぬ淋しい感情を覚えた。
「やっぱ、親は結婚を望むもんだよな」
「?」
「いや、いくら好きあってても、姉弟じゃ結婚とかできないわけじゃん? なんていうか、それが……」
今日の今日まで、未来のことを考えたことがないわけじゃない。
だけどそんな未来の姿が具体的な輪郭を持って近づいてくると、途端に足が竦んでしまうのである。
「もしも姉貴に、そのドレスを一緒に着たい人ができたらって……考えなくもない」
俺は考えたくもない未来から目を背けるように、俺は俯いて床を睨み付けた。
しかしそんな俺の視線を遮るように、姉貴が俺の視界に上目遣いで入ってきた。
「まさか、お前は私以外の相手と添い遂げる腹積もりなのか?」