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えっちな姉は俺の成長を喜んでいるらしい
第3章 一緒にお風呂!!
……その様子を校舎の窓から眺める男に、この時俺も姉貴も気がつかなかった。
その男は職員室で、自分の机周りを整理しているところであった。
しかし俺達を見つけると、窓に駆け寄りその景色を眺め始めた。
「あれは……」
男は渇いた声で呟きながら、眼鏡の奥の瞳を細めた。
「佐久間先生? どうかなさいましたか?」
「いえ、なんでもありません」
それに気がついた別の教師が、彼の名を呼ぶ。
けれど男は何事もなかったかのように、その教師に向かって微笑んだ。


俺はその場で、姉貴が再び校門をくぐる様子を眺めていた。
「いや~やっぱいいなぁ、美人のねーちゃん」
そんな最中背後から、芝居がかった囃し声がした。
振り返ると、案の定、間嶋他同級生達がいる。
「う、うるせぇよ!! ほら、コンビニ行くぞ!」
俺は囃し立てニヤつく同級生達に怒鳴った。
けれど上擦った声で赤面しながらしたそれは、むしろ逆効果だ。
「なぁなぁ、いつもああやって頭撫でてもらってんの?」
「その弁当お姉さんの手作り?」
俺は道中、同級生達からのからかいを一身に受けながら、弁当を忘れた過去の自分を激しく恨むのだった。



「先輩、お姉さんいたんですね」
そう言いながら、東堂が休憩中の俺にドリンクを持ってくる。
「……まぁ。あんなんだけど」
俺はため息混じりで、彼女からドリンクを受け取った。
「すごい、その……美人でしたよね! 先輩羨ましいです!」
俺は心の中で、過去最大級のため息を吐いた。
「さぁ。姉弟だから、実感ないな」
「私、上の兄弟がいないから、憧れるんですよねー。いいなぁって思いますもん」
「いや、まぁ。そうだな……」
滔々としゃべり続ける東堂と、羞恥に顔を伏せる俺。
一体何の、罰ゲームなのだろうか?

その後、俺はしばらくことあるごとに、間嶋達に姉貴のことをネタにされるのだが、それはまた別の話である。
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