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えっちな姉は俺の成長を喜んでいるらしい
第5章 俺の気持ち!!
俺はただただ戸惑うばかりだ。
「あの、ホントにどういうのがいいんですかね?」
俺はもはや佐久間先生にすがるしかなかった。
「うん。確かにいきなり選んでみろ、なんて難しいよね。例えばそうだね……普段どんな感じの服を着てるとか、分かるかい?」
「え~と。あんまり派手……ではないです。白とか紺色とか……」
俺はたどたどしく佐久間先生に姉貴の普段着の特徴を言う。
そんな俺の言葉を、佐久間先生は相槌を打ちながら誠実に聞いてくれた。
「それなら、例えばこのお店なんてどうだろう? このバレッタなんて素敵じゃないかい?」
先生はとある店の前に俺を連れていくと、そこで売られているバレッタと呼ばれる装飾品を手に取った。
黒い薔薇が、鈍く光る金属の上にあしらわれている。
バレッタという聞き慣れない単語ではあるが、見た目からして髪に着けるものであるということは想像に難くない。
結構大きいから、髪が短かったら着けるのに苦労しそうだな。
俺は先生の手の中で咲く、黒い薔薇を見下ろしながら考える。
ふと俺の視線はその向こうの、別の装飾品に行ってしまった。
「先生、例えばこっちのはどうですかね?」
俺はそれを手にとって先生に見せた。
いくつかの真珠のような白くて丸いビーズを、金色の金具の上に一直線に並べたデザインのバレッタである。
「うん。いいんじゃない? 君がその子のために選んだのなら、それが正解だよ!」
先生は大仰なほどに俺を褒めてくれた。
そういうことなら、これにしようか。
俺は先生と連れ立ってレジへ向かった。
そしてプレゼント用に包んでもらうように店員さんに頼む。
俺は包装紙にくるまれる真珠と、レジに印された数字を見比べ、想像以上の出費に誰にも気がつかれないように小さくため息をついた。

「先生、ありがとうございます。わざわざ時間をいただいてしまって」
俺は先生と連れ立って、自販機で買ったペットボトルのスポーツドリンクを駅前の広場で飲んだ。
先生に『内緒だよ』と言われて奢ってもらったものである。
「いいって。悩んでる生徒を助けるのも、先生の仕事からね。それに、たまには誰かのために買い物をするっていうのも悪くないかなって思うし」
先生はまた爽やかな笑顔で俺に言った。
「彼女、喜んでくれるといいね」
「か、彼女!?」
俺は素っ頓狂な声を駅前広場に響かせてしまった。
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