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えっちな姉は俺の成長を喜んでいるらしい
第7章 男の手に堕ちて
その頃、東堂安奈はとある駅の雑踏の中に一人佇んでいた。
真夏の太陽から逃れるようにして木陰で過ごすも、やはり長時間そこに立っているのは、苦しいものである。
そもそも彼女の目的の人物が、ここに来るのかすらも分からない。
ただ僅かばかりの情報を頼りに、ここにいるのだ。
そんな彼女は、手提げ鞄の中に入っている封筒の存在を一瞬たりとも意識の外に置けなかった。
その存在感もさることながら、これを落として他人にでも見られたら一大事なのだから。
東堂安奈は鞄の紐をギュッと握りしめ、いつ来るとも分からない人物を雑踏の中から探し続けた。
「この前間嶋が取り上げられた雑誌、先生の間でも回し読みされてるらしいぜ」
「いやいや、さすがにそれはないだろ」
俺は下校中の電車の中、同級生の冗談なのか本当に流布している噂なのか分からない話を聞いていた。
しかしそれは、俺が下車する駅に電車が停まったことにより中断される。
「それじゃ、明日~」
「お~っす」
俺は同級生に挨拶すると、改札口へ向かった。
(あっ)
それは駅前のバスターミナルにさしかかった時に気がついた。
見覚えのある黒髪が、家へ行く方面のバス停の前で、スマホで通話をしていたのだ。
俺がその後ろに並ぶ頃、ちょうど通話が終わったようだ。
通話を終えた姉貴は、後方の俺を一瞥する。
しかしすぐにまたスマホを弄りだす。
俺達の間に、微妙な空気が流れ出す。
たまらなくなった俺は、辺りを見回す。
ふと、道路沿いに一軒のコンビニが建っているのが見えた。
「俺、買い物してから帰るわ」
独り言のように、俺は姉貴に呟いた。
実際、独り言くらいの音量でボソボソと言ったから、姉貴にちゃんと聞こえたか分からない。
それを呟いた俺は、振り返ることなくさっさとそのコンビニへと向かった。
ちょうどそれと同時に、バスが到着した気配を感じた。
きっと姉貴はあれに乗るだろう。
俺は早くバスが出発することを心から願っていた。
真夏の太陽から逃れるようにして木陰で過ごすも、やはり長時間そこに立っているのは、苦しいものである。
そもそも彼女の目的の人物が、ここに来るのかすらも分からない。
ただ僅かばかりの情報を頼りに、ここにいるのだ。
そんな彼女は、手提げ鞄の中に入っている封筒の存在を一瞬たりとも意識の外に置けなかった。
その存在感もさることながら、これを落として他人にでも見られたら一大事なのだから。
東堂安奈は鞄の紐をギュッと握りしめ、いつ来るとも分からない人物を雑踏の中から探し続けた。
「この前間嶋が取り上げられた雑誌、先生の間でも回し読みされてるらしいぜ」
「いやいや、さすがにそれはないだろ」
俺は下校中の電車の中、同級生の冗談なのか本当に流布している噂なのか分からない話を聞いていた。
しかしそれは、俺が下車する駅に電車が停まったことにより中断される。
「それじゃ、明日~」
「お~っす」
俺は同級生に挨拶すると、改札口へ向かった。
(あっ)
それは駅前のバスターミナルにさしかかった時に気がついた。
見覚えのある黒髪が、家へ行く方面のバス停の前で、スマホで通話をしていたのだ。
俺がその後ろに並ぶ頃、ちょうど通話が終わったようだ。
通話を終えた姉貴は、後方の俺を一瞥する。
しかしすぐにまたスマホを弄りだす。
俺達の間に、微妙な空気が流れ出す。
たまらなくなった俺は、辺りを見回す。
ふと、道路沿いに一軒のコンビニが建っているのが見えた。
「俺、買い物してから帰るわ」
独り言のように、俺は姉貴に呟いた。
実際、独り言くらいの音量でボソボソと言ったから、姉貴にちゃんと聞こえたか分からない。
それを呟いた俺は、振り返ることなくさっさとそのコンビニへと向かった。
ちょうどそれと同時に、バスが到着した気配を感じた。
きっと姉貴はあれに乗るだろう。
俺は早くバスが出発することを心から願っていた。