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えっちな姉は俺の成長を喜んでいるらしい
第7章 男の手に堕ちて
「紺色の……セダン……」
「え?」
俺の極小さな呟きに、佐久間先生は振り返る。
それでも俺は、紺色のセダンから目を離せずにいた。
「同じ車が、俺の家の前に停まっているのを、この前見たんです」
ぽつりぽつりと、俺は言葉を紡ぐ。
自分の記憶を辿りながら。
スーツを着た姉貴と体を交わらせていた、あの日には紺色のセダンが俺の家の前に停まっていた。
それは東堂に送られた写真が、撮られた日でもある。
「あぁ、まぁ……あまり珍しい車じゃないからね。そういうこともあるさ」
さらりとそう言う先生であるが、今の俺は佐久間先生のその笑顔に、得体のしれない恐怖を覚えていた。
それが勘違いであって欲しいと心のどこかで思うものの、今は自分の中に沸き上がった確信の方が強い。
「でも、この学校の中では先生だけですよね? ……この前、俺の下駄箱に『あるもの』が入ってたんです。多分、紺色のセダンに乗った人物が仕込んだと思われるものです。もしもそれを学校外の人物が仕込んだものなら、そもそもその人物が校内に入っただけでも不審がられます。例え夏休み期間であっても、部活動のために生徒や先生の目はありますから」
俺はまっすぐ佐久間先生を見据えた。
先生の笑みは揺らいではいない。
「なんだったら、警察にでも『それ』を持っていって例えば指紋を採取してもらうとかで、『それ』を誰が仕込んだか調べてもらいます」
最後のはハッタリだった。
でも、畳み掛けるなら今しかない。
「う~ん。君が何を言っているか分からないけど、とにかく、その写真が僕に関係しているかどうか調べたいんだよね? まぁ、協力してもいいけど……多分、これといった収穫はないと思うよ?」
努めて冷静に話しているのだろう。
だけど大分慌てている、ということは分かった。
「先生。俺、『それ』が写真だなんて一言も言ってないですよ」
先生の笑みが、僅かに強張る。
それは先生が纏っていた、透明な盾が崩れ落ちたことを示していた。
「先生!」
俺は先生に再び呼びかけた。
先生は深くため息を吐く。
「……もう少し遊んでみようかと思っていたけど、まぁ仕方ないね。僕も詰めが甘かった」
先生の笑みが、生徒を見守る優しい笑顔から得体のしれない人物のものに変わった。
「うん、そうだよ。僕がやった」
あまりに短く、あっさりとした肯定の言葉に、俺は驚く間を与えられなかった。
「え?」
俺の極小さな呟きに、佐久間先生は振り返る。
それでも俺は、紺色のセダンから目を離せずにいた。
「同じ車が、俺の家の前に停まっているのを、この前見たんです」
ぽつりぽつりと、俺は言葉を紡ぐ。
自分の記憶を辿りながら。
スーツを着た姉貴と体を交わらせていた、あの日には紺色のセダンが俺の家の前に停まっていた。
それは東堂に送られた写真が、撮られた日でもある。
「あぁ、まぁ……あまり珍しい車じゃないからね。そういうこともあるさ」
さらりとそう言う先生であるが、今の俺は佐久間先生のその笑顔に、得体のしれない恐怖を覚えていた。
それが勘違いであって欲しいと心のどこかで思うものの、今は自分の中に沸き上がった確信の方が強い。
「でも、この学校の中では先生だけですよね? ……この前、俺の下駄箱に『あるもの』が入ってたんです。多分、紺色のセダンに乗った人物が仕込んだと思われるものです。もしもそれを学校外の人物が仕込んだものなら、そもそもその人物が校内に入っただけでも不審がられます。例え夏休み期間であっても、部活動のために生徒や先生の目はありますから」
俺はまっすぐ佐久間先生を見据えた。
先生の笑みは揺らいではいない。
「なんだったら、警察にでも『それ』を持っていって例えば指紋を採取してもらうとかで、『それ』を誰が仕込んだか調べてもらいます」
最後のはハッタリだった。
でも、畳み掛けるなら今しかない。
「う~ん。君が何を言っているか分からないけど、とにかく、その写真が僕に関係しているかどうか調べたいんだよね? まぁ、協力してもいいけど……多分、これといった収穫はないと思うよ?」
努めて冷静に話しているのだろう。
だけど大分慌てている、ということは分かった。
「先生。俺、『それ』が写真だなんて一言も言ってないですよ」
先生の笑みが、僅かに強張る。
それは先生が纏っていた、透明な盾が崩れ落ちたことを示していた。
「先生!」
俺は先生に再び呼びかけた。
先生は深くため息を吐く。
「……もう少し遊んでみようかと思っていたけど、まぁ仕方ないね。僕も詰めが甘かった」
先生の笑みが、生徒を見守る優しい笑顔から得体のしれない人物のものに変わった。
「うん、そうだよ。僕がやった」
あまりに短く、あっさりとした肯定の言葉に、俺は驚く間を与えられなかった。