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えっちな姉は俺の成長を喜んでいるらしい
第8章 君を追って!!
しかし彼女は元来から真面目なのだろう。
だからそうせざるを得ないのかもしれない。
「もし犯人探しをするのでしたら、私、なんでも協力します! できることは少ないでしょうけど……」
「そのことなんだけどさ」
そう言った東堂の言葉を、俺は思わず遮ってしまった。
「犯人、分かったんだ」
東堂は再び、驚いて顔を上げた。
「じゃ、じゃあ……」
「だからもう、東堂には危害は加えられないと思う」
俺は自分自身の言葉が空しくなった。
それを飲み込むように、俺は自分の分の麦茶を注ぐと、それを一気に飲み干した。
けれど俺の心情など、彼女にはお見通しのようだった。
「先輩、犯人は分かったけど、まだ何か問題があるんですか?」
俺は自分の手の中に残ったガラスのコップの中身を見下ろし続けた。
姉貴のことを言うか言わないか悩んだけど、彼女は巻き込まれてしまったのだ。
ある程度までは説明する義務があるだろう。
「犯人が、姉貴を脅したんだよ。自分に着いてくれば、もう写真は流さないって。だから多分、姉貴は犯人のところにいる……と思う」
東堂に聞かせるには、衝撃的な内容だろう。
あえて佐久間先生の名前は出さなかった
衝撃的な情報は、極力減らした方がいいだろうから。
当然、彼女はいたましげに目を伏せている。
「犯人の家の場所は、分からないんですか? 連絡先とかも……」
ふと、俺は紺色のセダンのことを思い出した。
……学校から出る佐久間先生を追うのはどうだろうか?
いや、乗用車を追うのは難しいだろう。
それに途中でバレたら、何をされるか分からない。
「お手上げだよ。多分、向こうはガードを固くしてるだろうから」
「そう……ですか……」
俺達二人、しょんぼりと肩を落とした。
その時、スマホの鳴動する音が部屋に響いた。
それは俺のスマホの音でも、東堂のスマホの音でもない。
「そういえば、これ……お姉さんのですよね?」
ソファーの上に乱雑に置かれていたスマホを、東堂は手に取った。
それは姉貴のスマホである。
佐久間先生が俺に投げて寄越したきり、俺はそれを持て余してしたのだ。
「た、例えば、このスマホから犯人の手懸かりが見つかる……なんてことはないですかね?」
「う~ん……どうだろう?」
俺は東堂からスマホを受け取ると、それを手の中に収めた。
画面の中には、就活サイトからメルマガが届いたという表示があった。
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