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えっちな姉は俺の成長を喜んでいるらしい
第9章 繋がって!!
けれどそれはすぐに、冷めた薄ら笑いへと戻っていった。
「へぇ、よくここまで入ってこれたね。どうやったんだい?」
俺は佐久間先生の襟ぐりを怒りに任せて掴みながら、その表情を見下ろした。
「ま、別に何でもいいや。それよりも、手を離してくれない? そして早くお家に帰ることをお勧めするよ。でないと、僕は不法侵入と暴行で警察に通報しなければいけなくなるから」
「通報? それはアンタの方だろ?」
俺は幾ばくか冷静を取り戻すと、吐き捨てるように言った。
「姉貴のこと脅して監禁して……アンタのやってることも充分犯罪だろ」
「いやいや、彼女は望んでここへやってきたんだ。そんなことを言われるのは心外だな……それに」
佐久間先生は首だけを動かして、その場に座る姉貴を見つめた。
「矢作さんはどうしたい? 何度も言ってるけど、僕は君がどうしようが構わないけど、選択によっては君はあの写真のせいで傷つくことになるかもしれないよ」
俺は佐久間先生の視線を追って、姉貴の方を見た。
姉貴は俺と目が合うと、床に視線を落とした。
その表情には、悲しみと悔しさが包有されているようだ。
「……それでも」
俺は深呼吸をしてゆっくりと言い放った。
「それでも、俺は俺の知らないところで姉貴が犠牲になるなんて絶対に嫌だ。少なくとも、アンタのおもちゃにされるよりは」
俺は再び姉貴の方に振り返った。
「姉貴、俺はさっき言った通りだ。俺は戦う。俺は……あんたがこんな場所でモノみたいに扱われるなら、そっちの道の方を選ぶ。それが、俺の望みだ」
姉貴の瞳が、潤むのが見てとれた。
「なぁ、姉貴」
俺は畳み掛けるようにそう言った。
ふと、姉貴の肩の力が抜けるような感じがした。
その直後、俺の胸の中に姉貴が飛び込んできたのだ。
「隆一……隆一……!!」
俺の胸の中で、姉貴は震えていた。
けれどそれは、今までの消極的な、佐久間先生から与えられた恐怖に怯える震えではない。
これから立ち向かうことへの恐怖だ。
けれどそんなものを感じながらも、姉貴は立ち向かうことを選んだのだ。
俺は姉貴の肩に腕を回して抱き締めた。
その震えを受け止められるのも、また俺だけだから。
「……止めた止めた」
その時、俺の背後から佐久間先生の声が聞こえてきた。
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