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えっちな姉は俺の成長を喜んでいるらしい
第9章 繋がって!!
『ねぇ、いつまでそうしているつもりだい? 君はもうどこにも行けないんだよ? だったらもう……俺だけを見ていればいいのに』
俺はクローゼットの中で見た、佐久間先生の横顔を思い出した。
姉貴に触れる佐久間先生。
そう言う瞳に、陰りが差す瞬間を……。
「多分、それは……『特別な時』に……」
「ん?」
「いいや、何でもない。俺にもさっぱりだなって思っただけだ」
もしかしたら、佐久間先生は本当に姉貴のことを……なんて思いもしたけど、それは結局のところ憶測にすぎない。
仮に本当にそうだったとしても、今さら俺が打ち明けたところでどうにもならないだろう。
俺は心の小さな引き出しに、その言葉をしまいこんで錠をした。
「それで、さ。確認したいこと……っていうか、伝えておきたいことがあって……ですね……」
俺は意を決して、ソファーに座る姉貴の前に膝立ちになって向かい合った。
「あ、あのさ。姉貴を探すのに、村田さんに協力してもらったんだ。その時、姉貴は恋愛しにくい相手に恋してるって教えてくれた。その相手って……」
俺は伏し目がちの姉貴を見下ろしながら尋ねた。
そんな姉貴の表情に、徐々に赤色が差していくのを俺は見逃さなかった。
「その相手って、俺……でいいんだよな?」
随分間の抜けた質問である。
しかし随分勇気のある質問でもある。
もしも違っていたら……いや、でも確信がある。
「姉貴……?」
なかなか返答が来ないため、俺は伏し目がちの姉貴の視界に入れるように、腰を落として姉貴の目を覗きこんだ。
「もしも、そうだったら……?」
その時、姉貴はクスりと笑うと俺を見上げた。
がっつりぶつかる視線と視線。
けれどそれは、反らされることはなかった。
「そ、そうだったら……」
俺はそれに気圧されたじろいでしまった。
「もし、そうなら……俺も姉貴と同じ気持ち……なのかもしれない……」
……いや、もう誤魔化すのもはぐらかすのも止めよう。
ちゃんと真っ直ぐ、向き合わなきゃ。
俺は再び、真っ直ぐに姉貴の瞳を見つめた。
「俺は、姉貴のことが好き……なんだ。多分、姉貴が俺のことを好きなのと同じくらい」
俺の言葉に、姉貴は俯いてしまった。
その頬は、まるで薔薇の花が咲いたかのように赤く染まっている。
「姉貴は……? 姉貴はどうなんだよ?」
俺は自分ばかり一方的にこんなことを言っているのはシャクだと感じた。
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