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愛欲の部屋
第3章 原点の鞭
 陵辱はさらにエスカレートしていた。
 もう、ショーなんてものじゃなく、私にとってなくてはならない生活の一部になっていた。
 私とミキはコンビを組むようになり、息のあったプレイは男女ともに好評だった。
 ミキは生来のレズビアンでサドだったから、私を責めるのに快楽を感じていた。
 最後にご褒美として聖水を私の口に放つとき、明らかに逝っていた。
 そして私を夢中にさせたのは、なによりミキの鞭だった。
 鞭の嫌なのは、その場だけですまないことだ。
 激しく鞭打たれるのは興奮するけれど、興奮がやんだあとにまで痛みやあとが残るのは困る。
 本当の鞭というのは、体にまんべんなく浅い傷をつけて何日もむず痒さに苦しませて、自分で自分を掻きむしらせて殺すのが趣旨だそうだけれど、冗談じゃない。
 その場だけの痛みを楽しみたい。
 痛み……
 それは私の命の原点だった。
 私は母親に虐待されていた。
 いや、それは正確じゃない。
 母親は仕事で忙しかったから、ベビーシッターに育児は任せっきりだった。
 このベビーシッターが、今思えば許しがたいバイタだった。
 父親の愛人になり、私の目の前で何度も交わった。
 それを秘密にしておかないと殺すと脅した。
 私にオナニーを強要し、罪悪感を植え付け、母親にバラされたくなければ、父親との関係を黙っていろと脅した。
 そして、何かにつけ、お尻を鞭で打った。
 オナニーをさせながら、
「感じてるんじゃないよ、この雌ブタが!」
 などと暴言を吐いて、お尻を鞭打つのだった。
 私の中で、快楽と苦痛が結びついた。
 浣腸も、そう。
 私は便秘でお腹が硬くなることがあり、そのたびに浣腸された。
「まだよ、まだ」
 冷徹に時計を眺めるベビーシッターのまなざし、排泄を求める私。
 ここに私の原点があった。
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