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青い残り火
第11章 第11章
俺の気持ちを知るわけないんだから
きっと想像さえしていない

一馬は自分の早とちりを反省し、日を追う毎に気持ちを立て直していった。

「相変わらずのお絵描きか……」

B棟を見上げながら水飲み場を過ぎた時、誰かとぶつかりそうになった。

「っ……、芽衣?」

「か、一馬……」

「なにしてんのこんな所で」

息を切らせている芽衣は、すぐに立ち去りたい様子でやけに焦っている。

「な、なんでもないの、ちょっと、図書室に忘れ物」

背中に何かを隠すのが見えた。

「それなに?」

「え、あ、これ? なんでもないよ、ちょっと借りたの」

「何で慌てて隠すんだよ、本なんだろ?」

しばらく見つめ合った後、芽衣はふと笑みを浮かべ、後ろに隠していた物を一馬に差し出した。

「っ……、な、なんで芽衣がこれ持ってんの?」

古ぼけて波打った国語辞典。西崎が手離す筈のない物を芽衣が持っていた。


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