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第3章 泥沼
 そうこうするうち、とんでもないことが起きた。
 男と別れ、バイトも辞め、二十歳になり、まともな恋愛を始めようと思っていた矢先だった。
 久しぶりにアキナに呼ばれた。
 ラインに涙のスタンプが貼ってあり、何事かと駆けつけたとき、部屋は荒れ放題で、アキナ自身ボロボロだった。
 髪はボサボサ、肌は荒れ、涙の痕が何本も白く乾いてあった。
 そこにまた涙が流れた。
「一緒に観て」
 そう言って、一枚のDVDをセットした。
「組織移植って知ってる?」
「え? 知らないよ」
「外国じゃ、臓器移植より一般的なんだって。手や足の筋肉や腱を移植するんだって。売るものの無くなった人が片腕や片脚を……」
 そう言って、泣き崩れた。
 DVDが画面に映った。
 男だった。
 全裸で両腕両脚を台に固定され「助けてくれ……」と力無く呻いていた。
 陰毛が剃られた局部に縮こまった男性自身があった。
 何か外国語を喋る男たちがメスやノコギリを使い、あっと言う間に右足首を切り落とした。
 男はその間、意味の分からないことを叫びまくっていた。
 次のシーンでは、切り落とした部分はきちんと縫合され、傷も治っていた。
「いきなり全部切り落とすと、ショック死するから、何日か間を開けて……」
 また激しく泣き崩れた。
 左手首が切り落とされた。
 こうして、十数分の間に、手首足首から肘膝を落とされ、ついに男はダルマになった。
 ダルマになった男のそれを、看護婦のような女がしごき、屹立させた。
 そして、イク寸前で手を離した。
 
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