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夜伽月 よとぎづき 
第7章 秘密
月は夜が更ける迄の数時間
酷い吐き気と腹痛で小坊主と清賢に抱えられる様にして、洞窟の厠へと何度も足を運ばなければならなかった。何度も水を飲まされ吐き出すを繰り返し、もう吐いても何も出る者は無くなった。それで終わりかと思いきや、今度は鱈腹に水を飲まされたからだ。

月がうとうとし始めた頃、清賢に突然起こされた。

「最後に厠へ行ってから、寝ましょう」

「え…もう…大丈夫よ…」

「いけません。さぁ」

月は清賢と小坊主に支えられながら厠へと向かった。

「そろそろ唐変木が迎えに来る筈よ…私の事はもう良いから、早く小坊主さんと準備をして?」

見張りは、仲間同志で賭け事に夢中になって居た。

「何を言いますか!あなたを置いて私たちだけで行くことは出来ませぬ」

厠の裏へと静かに回ると、闇の中で既に透が待っていた。

「遅くなってすみませぬ」

待たされて不機嫌そうな透に清賢が謝った。

「自分は残って、怪我人の面倒をみるとお前は言ってたのに、帰るのか?」

普段とは違い、濃い藍色のような勝色で動きやすそうな着物を纏っている透は、意地悪な笑みを零した。銀髪は後ろできつく束ね目立たぬように頭巾を被っていた。


「あ…いかわらず…ね」

月は弱々しい声で透を見上げ、一緒に居るとますます具合が悪くなりそうな気がした。

「夜伽様と女達との会話を聞いていて、もしやとは思っていましたが、やはりそうでしたか…ご自分だけ残られる覚悟をされていらっしゃったのですね」

清賢が大きなため息をついた。

「透殿…事情がありまして…状況が変わったのです。どうか三人ともお連れ下さい」

「そうなんですよ!夜伽様は毒を盛られたんです!」

すかさず小坊主が口を挟んだ。

「実は…毒を盛ったのは…私なのです」

そしてそれを制するように清賢は澄んだ目で答えた。

「えっ?」

小坊主が驚いて声を上げた。

「静かに…」

透が囁いた。

「ど…ういうこと?」

水分がすっかりぬけてしまったようになっている月。

「あなた様は無理やり連れて帰ると言っても聞かなかったでしょう」


「く…轡さんは…私を逃がす為の犠牲になって死んだって言うのっ?!」

月は誰に対するものか分からない怒りがこみあげてきた。

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