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夜伽月 よとぎづき
第7章 秘密
「我儘はそれぐらいにしろ…夜伽」
透が静かに言った。月はそれを無視し、亀よりも遅い速度で歩いた。
「お前は、皆の命を危険に晒していることが分からぬのか?」
鉛のように重い体を一歩ずつ前へ前へと押し出すようにして歩く月を見て、透がきつい口調で言った。
「私のせいで…罪の無い人が死んだの…よ」
「実は…」
清賢は、重い口を開いた。
「私の他にもう一人同じように夜伽様に毒を盛った者が居たのです」
「へ?」
月の力が抜けて思わずよろよろとしたところを清賢に再び肩を支えられた。
「何と....お前…随分な嫌われ様だな」
透がふっと笑った。清賢は月を抱えあげたが、それを遠慮しようと思っても、抵抗する力も残ってなかった。
「テングダケをほんの少々…夜伽様の食事に混ぜました。効果が表れるまでに時間が掛かるので、透殿が来られる頃に症状が出るものと…」
「ほう…それはまた大胆なことを」
透は興味深そうに聞いている。
「そうでもしなければ、夜伽様はあの洞窟に残ると思ったからです」
普段は大人しい清賢がきっぱりと言い切った。確かにここまでしなければ、残ると言い続けただろう。
「そ…そこはさっき聞いたわ。で…毒を盛ったのは誰なの?」
「なんだ…相変わらずせっかちだなお前は…こういう話は、じらされるのが良いと言うものだ。清賢和尚…一緒に眠り薬でも盛れば静かで良かったものを…」
清賢も困った顔をしていたが、口元に微かな笑みがこぼれた。
…和尚さんもそう思ってるって事ね。
考えてみれば、月よりも夜は遅くまで起きていて、朝は誰よりも早く起きて経を読んだりしていた。
「吐瀉の中に、混ぜた覚えの無い、あの毒キノコが混じっていたのです」
「それで 和尚様…その犯人は?」
清賢は大きく息を吸った。
「野風殿…」「野風さん!」
月と清賢が同時に言った。
…やっぱり。
「ええ…その偶然に私はとても焦りました。そうなると毒の表れ方が、変わって来ますし効力も増大する筈です…」
透が静かに言った。月はそれを無視し、亀よりも遅い速度で歩いた。
「お前は、皆の命を危険に晒していることが分からぬのか?」
鉛のように重い体を一歩ずつ前へ前へと押し出すようにして歩く月を見て、透がきつい口調で言った。
「私のせいで…罪の無い人が死んだの…よ」
「実は…」
清賢は、重い口を開いた。
「私の他にもう一人同じように夜伽様に毒を盛った者が居たのです」
「へ?」
月の力が抜けて思わずよろよろとしたところを清賢に再び肩を支えられた。
「何と....お前…随分な嫌われ様だな」
透がふっと笑った。清賢は月を抱えあげたが、それを遠慮しようと思っても、抵抗する力も残ってなかった。
「テングダケをほんの少々…夜伽様の食事に混ぜました。効果が表れるまでに時間が掛かるので、透殿が来られる頃に症状が出るものと…」
「ほう…それはまた大胆なことを」
透は興味深そうに聞いている。
「そうでもしなければ、夜伽様はあの洞窟に残ると思ったからです」
普段は大人しい清賢がきっぱりと言い切った。確かにここまでしなければ、残ると言い続けただろう。
「そ…そこはさっき聞いたわ。で…毒を盛ったのは誰なの?」
「なんだ…相変わらずせっかちだなお前は…こういう話は、じらされるのが良いと言うものだ。清賢和尚…一緒に眠り薬でも盛れば静かで良かったものを…」
清賢も困った顔をしていたが、口元に微かな笑みがこぼれた。
…和尚さんもそう思ってるって事ね。
考えてみれば、月よりも夜は遅くまで起きていて、朝は誰よりも早く起きて経を読んだりしていた。
「吐瀉の中に、混ぜた覚えの無い、あの毒キノコが混じっていたのです」
「それで 和尚様…その犯人は?」
清賢は大きく息を吸った。
「野風殿…」「野風さん!」
月と清賢が同時に言った。
…やっぱり。
「ええ…その偶然に私はとても焦りました。そうなると毒の表れ方が、変わって来ますし効力も増大する筈です…」