この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater40.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夜伽月 よとぎづき
第7章 秘密
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
「ほぼ野風殿で間違いは無いでしょう。そして轡殿に手伝わせた…殺したのは口封じでしょう」
…思った通り。
洞窟にいる限り、命を狙われ続けただろう。
「恨みを買うとは、何ともお前らしい」
透は、事あるごとに月に突っかかった。
「食い意地が張ってるからその様な罠に嵌るのだ」
「ちょ…食い意地が張って無くても毒を盛られたら、誰だって死にそうになるわよっ。失礼ね」
月はぐったりとしながらも、言い返した。
「何とも…騒がしい死に損ないだな」
透は、くすくすと笑い出した。
「し…死に損ないですって?清賢和尚が助けてくれたのに、あなたのその毒舌で死にそうだわっ」
月は目を閉じたまま透に言い返した。
「清賢殿もお疲れであろう?…私は、お前などどうでも良いのだが、仕方がない。その大女を私が運ぼう」
清賢が答える前に月を清賢の腕から軽々と抱き上げた。
「そ…んなに嫌なら別に良いわよ」
懐かしい香りが、月の鼻をくすぐった。
「皆に迷惑を掛けて置いて、本当にふてぶてしい女だな。お前は」
ふたりが小声で口論をしている間に、周りが少し拓けて来て、獣道に突き当たった。そこには2頭の馬が居て、透をみるとふるふると鼻を震わせ優しく低い声で嘶いた。
透は月を前に乗せると軽々と馬を走らせた。
「そろそろ洞窟も騒がしくなる頃であろうな」
「ええ」
清賢は、小坊主と馬に乗り透の後をついていく。馬から伝わる振動と熱で、月はふわふわとした気分になった。
「おい…まだ半刻は掛かるぞ、しっかりと掴まれ。振り落とされるぞ!」
そして時折触れる木の葉は、夜露に濡れていた。
「うん…でも…暖かくて、冷たくて…気持ちが良い…の」
身体は眠気に覆われて、抗うことが出来ない。
「夜伽…寝てはいかん」
透は、そんな月に声を掛け続けた。
…思った通り。
洞窟にいる限り、命を狙われ続けただろう。
「恨みを買うとは、何ともお前らしい」
透は、事あるごとに月に突っかかった。
「食い意地が張ってるからその様な罠に嵌るのだ」
「ちょ…食い意地が張って無くても毒を盛られたら、誰だって死にそうになるわよっ。失礼ね」
月はぐったりとしながらも、言い返した。
「何とも…騒がしい死に損ないだな」
透は、くすくすと笑い出した。
「し…死に損ないですって?清賢和尚が助けてくれたのに、あなたのその毒舌で死にそうだわっ」
月は目を閉じたまま透に言い返した。
「清賢殿もお疲れであろう?…私は、お前などどうでも良いのだが、仕方がない。その大女を私が運ぼう」
清賢が答える前に月を清賢の腕から軽々と抱き上げた。
「そ…んなに嫌なら別に良いわよ」
懐かしい香りが、月の鼻をくすぐった。
「皆に迷惑を掛けて置いて、本当にふてぶてしい女だな。お前は」
ふたりが小声で口論をしている間に、周りが少し拓けて来て、獣道に突き当たった。そこには2頭の馬が居て、透をみるとふるふると鼻を震わせ優しく低い声で嘶いた。
透は月を前に乗せると軽々と馬を走らせた。
「そろそろ洞窟も騒がしくなる頃であろうな」
「ええ」
清賢は、小坊主と馬に乗り透の後をついていく。馬から伝わる振動と熱で、月はふわふわとした気分になった。
「おい…まだ半刻は掛かるぞ、しっかりと掴まれ。振り落とされるぞ!」
そして時折触れる木の葉は、夜露に濡れていた。
「うん…でも…暖かくて、冷たくて…気持ちが良い…の」
身体は眠気に覆われて、抗うことが出来ない。
「夜伽…寝てはいかん」
透は、そんな月に声を掛け続けた。
![](/image/skin/separater40.gif)
![](/image/skin/separater40.gif)