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夜伽月 よとぎづき 
第3章 四ツ目屋
「おほほほほほ…」

…!!!

部屋から少し離れたところで、小鳥が静かに座っていて、月たちが来るとほっとした表情になった。

「久太か?」


かんざし婆さんが小声で言うと、小鳥が頷いた。

…笑い声?

「折角、水琴窟に来たのだから、筆屋さんを拝見したかったですねぇ」

「本当に…それは女性と見紛うばかりの美しさで、娘達に手ほどきするそうな…」


女同士の閨話を何故、久太にしているのか月は不思議に思った。


「奥様方…これは、遊女の間でも人気のある媚薬。男を虜にすると言われております。こちらは試供品です…」


大きく深呼吸をすると月は障子の前に立った。小鳥が慌てて月を座らせようとしたが、かんざし婆さんは首を振り、そのままで良いから好きにさせてやれと囁いた。

「失礼します」

今までの笑い声が嘘のようにぴたりと止んだ。

「どうぞ。お入りなさい」

高飛車な物言いの女性の声。

…負けちゃいけない。

月は、障子の前に座りもせず立ったままで小鳥に障子を開けさせた。音もなくすっと開いた障子の先にはふたりの女性とそのお付きの者達、そして久太が座っていた。

「まぁなんと!」
「奥方様たちの御前で無礼ではないか!」

4人のお付きの者たちが騒いだ。

月はちらりとそちらを見やると、立ったままふたりの“奥方”達と向き合った。

「わたしくしは…夜伽(よとぎ)と申します」

月は凛とした声で2人を見下ろした。その迫力にお付きの者たちは、押し黙った。

「わたしくしは皆様が仰る通り、この世界のものではございません。ある親切な漁師に助けられ、こちらでお世話になっています」

…うん。嘘は言ってない。

「そのお返しに、安産祈願の助けをしております。先程生まれた史の子供は双子…それも男女。この世では、忌み嫌われるそうな」

圧倒的な威圧感で、月は周りをゆっくりと見回した。

「そこで…わたくしは、1度水子に女児を戻しました。だがしかし、この女児が、この世にどうしても戻りたいと泣くのです」

月は亡くなった女児の頭を優しく撫でた。演技ではなく、本当にそう信じたいと思う気持ちを伝える事にした。
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