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淳、光と闇
第11章 片羽の天使
「先生…恵の腕…
3年前に今と同じ悪い病気の為に
切り落としたの…
その後、パパがいなくなって…
ママは恵を施設に預けて…
それっきり、会いにきてくれないの…」

悲しそうに恵は続ける。

「先生…恵…残った腕も切り落としたら…
ママはもう…二度と恵に会いにきてくれない…
だから…恵は腕を切りたくないの…」

しっかりと淳を見ながら恵は言い切った。

「この子…」

淳は驚いて恵を見ている。

「そう…なんだ…
でもね、腕を切らないと…
恵ちゃん、死んでしまうよ?」

「ママに会えないなら…
腕を切ったらママは二度と
恵に会いに来なくなる…
両方の腕がない恵はママに嫌われる。
嫌われるくらいなら…
恵は死んだほうがまし…」

涙をポロポロと零して恵は言う。

「… … 」

淳は言葉が出なかった。

「分った…
なら、先生がママを探すわ。
そして、ママを恵ちゃんに会わせてあげる。
それならどう?」

「先生がママを?」

「そうよ…先生が
責任持ってママを探して
ここへ連れてくる…
だから…恵ちゃん、
ママに会えたら…
腕を…」

「分った…
ママに会えるなら…
もうママとは暮らせない…
でも、会いたい、先生!!
恵はママに会いたいの…」

恵はそう言って淳の胸で泣いた。
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