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二兎を追って落ちた穴
第3章 清算
タクヤの連絡は、レンと関係を持ってから、いつからかお気に入りに登録していました。切ない夜は名前を見つめて過ごすようになっていました。それがいよいよ、ある目的のために使われる。呼び出しの間、激しい動悸が体中に響いて、タクヤの部屋の振動スピーカーを思い出し、下腹部にまでズッシリと反応が及びました。

「おう久々ー。メリークリスマス、イブイブー」

何か言いかけても涎と吐息ばかり出て、無意味な声を荒げていたんだと思います。

「なに?ちょっと聞こえないんだけど。まさか、彼氏とそういうプレイ?気が早いね。付き合うよ俺ェ」

軽すぎる。交際当時、私を犯すときはこんな声は出しませんでした。深くドスを利かせて、搦めとるようにするのに。――私は今、その気のない男を誘惑し、欲求の解消に利用しようとしている。生まれて初めて。

「タッちゃん?そうじゃないの。……私の体、使わない?」
「……そそらないな〜!彼氏、脚本向きじゃないね」

もう全て悟ったのでしょう。「ね」と、粘りのある音をことさら強調しました。

「俺だったらこう言わせる。今の彼じゃ満足できません。やっぱりタッちゃんの激しい愛し方が一番です……って」

そのとき実は、ひそかにフリースの上から胸を触っていただけなのですが、その瞬間、中が猛烈に疼き――あの夢のように、自然で、しかも深い絶頂を迎えました。思いがけず長い長い吐息が出て、私の何もかもがタクヤに伝えてしまったと思うと、恥ずかしげもなくただ解放感と充足がありました。

「そのままコート着てこっちに来い。脱ぐんじゃねえぞ?お前の欲望も、今彼ちゃんへの想いも、全部閉じ込めて来い。まとめて抱いてやっから」

ジュルジュルと唇をわざとらしく啜り、電話を切りました。
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