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二兎を追って落ちた穴
第3章 清算
「レン君のこと、想像してていいぞ」
「なんでぇ……」
「お前、可哀そうだもん。俺のこと忘れろ。着信拒否までするんだ、今彼大好きだろ?別にいいぞ。ホントに、お互いが体使うだけで。俺はそれでいい」

天然なのか策略なのか、全然わからない。目を開けるとぼやけた視界の向こうに、ちょっと気難しい、一人でいるときのタクヤの顔になっていました。軽いだけでない、そういうところが面白くて付き合い始めたことを思い出します。私はもう充分に温まっていて、彼の腰を抱き寄せました。

「誘ったの私よ?恥かかせないで」

そうして彼の下で自ら脚を広げ、腰をくねらせ――つたないやり方で精いっぱい、行為の真似事をしました。

「……どうしたんだよ、お前」
「脱ぎましょう」

どんな女も屈服させる猛獣を手なづけていると思うと、全身が震えます。タクヤは私の手を引いて立ち上がり、何も言わず上を脱ぎ放って、よく切れ込みのある肉体を見せつけました。私もシワだらけのコートを雑に放って上のフリースの裾に手を掛けると、すぐタクヤの手が伸びてき、腕を上にあげてくねらせると、ペロリと脱がされてしまう。もちろん、ブラも彼任せ。

「やっぱ巨乳……たまんない」
「まだ触られてないのよ、レン君に」

わざとらしく名を呼ぶと、壁に押し付けられて、揉みしだかれる。私のことなんか全然考えないような手つきで。どうしようもなく下半身をわななかせていると、脚に割り込むように膝が入ってきて、私はそこに、服越しに押し付けるように前後させた。

エッチしている。初めて、男の人任せではない。私から求めるようなエッチ。狂おしくなり、頭の中の本能が膨張して破裂しそう。
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