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想いのカタチ
第3章 君にできる事
「本当にお人よしすぎるわよ」

校舎の陰から一人の女性が顔を出す。
何もしたくない僕は目線だけ声のする方に向ける。
どこかで見たことあるとは思うが思い出せない。
ネクタイからすると同じ学年。
興味がない僕は目線を戻し何もなかったかのように空を見つめた。

「なんで男ってこうも面倒なのかしらね。見てて歯痒くてしょうがないんだけど?」

僕に向かって話してくる彼女が煩わしく思えて無視をする。
そんな僕にはお構いなしでしゃべり続けてくる。

「好きなのに相手の事を思って身を引くなんて悲劇のヒロインのつもりなのかしらね。相手を思って…それは自己満足でしかないことを自覚するべきだわ」

僕の横に座り込み長話をする気だと思った僕はうんざりしてその場を立ち去ろうと腰を上げた。
その腕を掴まれ目線が彼女と重なる。
その力強い力に吸い込まれそうになり目が離せない。

「今の言葉。君に言ってるんだけど?分かってる?」

彼女の言葉に僕はドキリとする。
何もかも見透かされているような感覚に襲われた。

「文香のため??違うでしょ?自分が文香から解放されたいだけでしょ?」

「…ちがう…」

「違わない。人の幸せを願うことは良いことよ。だけど間違えちゃダメ。文香が則孝と付き合っても君は幸せになれない。つらい思いが続くだけ」

力づくで腕を解こうとしても両手で握られた腕は簡単には抜け出せない。
彼女は僕の腕を引きながら立ち上がり、同じ目線で僕を見る。
その目が、とても優しく見えるのはなぜだろうとフト思ってしまう。
彼女への怒りと、何か分からない感情が入り乱れる。
僕の心の中がかき乱され落ち着かなくなった。
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