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想いのカタチ
第3章 君にできる事
「…君には…関係ないことだ」

その気持ちの正体に気が付きたくない僕は逃げ出したい一心だった。

「私は…ずっと君を…貴方を見てた。貴方が文香をみてるように…」

一息ついた彼女は僕の目をまっすぐに見据えて毅然と次の言葉を発する。

「私は貴方が好きです。貴方が今は文香を見ていても構わない。貴方の幸せを願って引く気もない。」

とても強い口調に聞き入ってしまう。

「私が…貴方を幸せにしたい。私のこの手で幸せにしてあげたい…それが私の幸せに繋がるから」

彼女の言葉が僕の中で木霊する。
自分の手で幸せにしてあげたい。
僕は自分から幸せにしてあげる権利を手放した。
一生向けられないであろう愛情を、自覚するのが怖かったから。
篠宮に託すふりをして僕はただ逃げてるだけ…

「…僕の気持ちが君に向かなくても平気でいられるの?」

「大丈夫。きっと貴方は私を好きになる。」

どこからその自信がくるのだろうか?
僕はこんなに自分に自信がなくて迷ってばかりなのに。

「文香と貴方がまだ付き合ってる時にね。『きっとこの人は私を好きになる』と思ったの。確証なんてない。直感でそう思った。だからと言って二人の中を裂く気もなかった。。ただ、時が来ればそうなるだろうって私の直感がそう告げた」

強い意志を持った彼女の言葉が、僕の絡み合った気持ちを解きほぐし一つの線にしてくれた気がした。
苦しかった気持ちがストンッと落ち楽になる。

「でも…則孝をたきつけてくれてありがとう。私たちが何を言ってもあいつの心に響かなかった。これでつきあえればいいんだけど…きっと無理ね」

愉快そうに笑う彼女の横顔を見て僕も微笑む。
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