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第5章 愛しい私の未来の旦那様

人にやさしすぎるほどやさしい慶介が則孝の事になると昔から人が変わる。
それも文香の為だと分かってる。
そういうのも好きなんだけど。
それは言わない…言ってあげない。

「ごめんごめん。で？文香の方は？その落ち込みようだと何もしてないわけないよね。」

私の問いにコクリと頷く。

「文香はね。好きでずっと一緒にいたいから恋人より友達という関係を選んでた。篠宮の気持ちにも気が付かずに。…酷くて…冷たい言葉だと分かってても言わずにはいられなかった」

彼が言う、冷たい言葉が何なのか見当もつかない。
彼が文香を傷つけるとも思えない。
きっとそれは必要な言葉。
彼だからこそ言える言葉。

『男女の友情なんてありえない。特に結婚してしまえば嫉妬の種になる。篠宮が結婚したら奥さんは文香の事を邪魔に思ってしまうよ。そうなったら篠宮はどっちを取る？切られるのは文香の方だよ』

そのストレートな言葉にさすがの私もびっくり。
完全に追い込んだなと分かるほど。
そこまでして二人の中を取り持ちたい気持ちは何だろうと思う。