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想いのカタチ
第1章 伝えてあげたい言葉
イタリアンの店を見つけそこでお酒を飲むことにした。
時間が早いせいか人もまばらで、ゆっくり話すにはちょうどよかった。
席に通され、とりあえずビールと適当につまみを頼む。
出されたビールで再会の乾杯をして飲みだす。
一口飲んで文香を見てみると美味しそうに飲み干している。
人は見かけで判断してはいけないというが…昔の文香から想像できない飲みっぷりにびっくりしてしまう。

「もう…昔の私を知ってる人ってみんな驚くのよね。いやになっちゃう」

自覚があるのか、次のビールを頼みながら茶目っ気たっぷりに言う。
みんなということは篠宮もそうなのだろうか?

「それは…篠宮も入ってるの?」

篠宮の名前を出した瞬間、文香の顔色が変った。
さっき、行きつけの店の話をしたときと同じ顔。戸惑い。

「さっき、行きつけの店を聞いたときも、そんな顔したよね?篠宮と何か関係ある?」

直球で聞いてみる。
そうでもしないと文香は話さない。

「…行きつけの店…本当はあるの。だけど今はね…則孝も行きつけになったの。」

「だから僕を連れて行きたくなかったの?」

意地悪な質問だと思ったが聞いてみる。
文香は何も言わずに悲しい顔をする。
篠宮が彼女を作って、それをただ見てるしかなかったあの時と同じ目だと思った。
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