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第6章 幸せの連鎖

「それより、偶然じゃないってどういうこと？」

一馬が話を戻した。
そう、彼は偶然じゃないといった。
偶然じゃなければ必然？
意味が分からずにいると慶介が口をひらいた。

「呼ばれたから。ねっ美鈴」

「えっ？」

慶介の言葉に耳を疑った。

「えっと…婚約者の中里慶介です」

「え――――――」

余りの驚きに、店内に響くほど大声を出して驚いてしまった。

「んっ？？そんなに驚くことか？」

何も知らない弘樹がのんびりと聞いていた。
だって…慶介と美鈴？？

「そりゃあ、驚くだろうよ。こいつ…文香の元彼だし」

「「はぁ」」

今度は、何も知らないメンバーが驚いていた。
そんな驚いている私たちを置き去りにして、一人冷静だった則孝。
その則孝は、美鈴の頭に手を置いて覗き込んでいた。

「美鈴、おめでとう！祝福してやるよ。幸せになれ」

「えっ…祝福してくれるの？」

戸惑う美鈴をよそに、則孝は優しい笑みを送る。

「ああ…幸せにしてもらえ」

その言葉に美鈴は瞳に涙をためて、うれしそうに笑った。
その横で、やさしく見つめる慶介の目がとても印象的できれいだった。

「幸せにしろよな」

則孝が慶介に言う。

「もちろんだよ」

慶介が則孝の言葉に答えた。
そして則孝が突き出した拳に自分の拳をぶつけた。
男の友情を見た瞬間だった。