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第8章 最上な時

則孝も花火大会にあわせて、こっちで打ち合わせを入れてくれた。
そんなことができるの？と驚いたけど、それなりの地位に上がっているようだった。
駅に到着して20分程したとき、遠くの方から走ってくる則孝の姿を見つけた。
花火大会に向かう人に逆らっているので中々こちらに来るのは難しそうだった。
それでも頑張って走ってるのが目に見える。
そんな彼を見てうれしく思いながら、手を振ってみる。
そんな私にすぐ気がついて、驚いたような表情をしていた。

「一瞬誰か分からなかった…すごく似合ってるよ」

そう言って、人の目も気にしないで、ほっぺにキスをする。
何度同じ経験をしても慣れるものじゃない。
だけどうれしくないわけでもない。
則孝のスーツの裾をギュッと握り締めてうつむくと、彼の手が腰に回った。

「とりあえず、行こうか。」

私は頷いて、則孝と歩き出した。
どこからこんなに人が集まってくるのかと不思議に思うほど多くの人が集まっていた。
その流れにそって花火大会会場に向かう。