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輪廻
第2章 2XXX年4月1日
『天』プロジェクトの全容を知らない国民はそのように思っているが、
もちろん生身の人間のデータを何万通りも収集するなど不可能で、存在そのものからVなわけだ。

御幸は今、リュウのシャワーシーンを見ていて、バスルームに一緒に入ることをチョイスしたようだ。

そして早送りのおかげで、今の御幸の映像はリアルタイムである。
ベッドに仰向けに寝ている御幸が片手を胸の辺りで曲げ伸ばし、バスルームの扉を開けている。

俺は、御幸の見ているバーチャルをジャックすることにした。

つまりは御幸がバーチャルで相手しているリュウを俺が乗っ取り、俺の思考でリュウを動かすのだ。

バーチャルリアリティーに五感機能が開発された当初、遠隔地にいる人間がこのようにして、バーチャルで逢瀬を重ねていたらしいが、
御幸は、そうとは知らず、Rのリュウで創られたバーチャルゲームを楽しんでいるだけだ。

ちなみに、御幸のゲームの利用履歴は俺のところに常に届いているので、御幸が何をリュウに求めているのか推測できる。

俺はリュウらしさを装いながら御幸とバーチャルで遊ぶことができるわけだ。
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