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甘えた
第1章 01
夜7時を過ぎると外から車の音が聞こえる。
太いマフラーから排出される大きなエンジン音…長谷川くん家の車だろう。
都内ではあるが山や緑の多いこの街は昔から暴走族が多かった。ずっと住んでいればこんな音は騒音の内に入らないくらい。
なにを隠そう、うちの父さんも若い頃は奇抜に改造されたバイクを乗り回していたらしい。
「ゆめが帰ってきた…」
台所で夕食の後片付けをしていた手を止め、独り言をつぶやきながら食卓の上に放置してあったスマホをポケットにしまう。
洗濯の終わった父さんの作業着を干している最中に結愛花からメッセージが届く。
《ただいま。とわちゃん、今から部屋に来れる?》
「父さん!ちょっと、ゆめん家行ってくる」
炊き込みごはんを入れてもらった器を食器棚に戻し、おばちゃんにごちそうさまとお礼を言ってから、2階にある結愛花の部屋で座り込んだ。
生成り地にピンクの小花模様のカーテン、木製のベッドにはペールピンクで統一された寝具、結愛花のお母さん力作のパッチワークがベッドカバー。
勉強机の上には教科書の横にネイルの小瓶やヘアアクセサリーが並ぶ。あたしの部屋とは大きく違う。
太いマフラーから排出される大きなエンジン音…長谷川くん家の車だろう。
都内ではあるが山や緑の多いこの街は昔から暴走族が多かった。ずっと住んでいればこんな音は騒音の内に入らないくらい。
なにを隠そう、うちの父さんも若い頃は奇抜に改造されたバイクを乗り回していたらしい。
「ゆめが帰ってきた…」
台所で夕食の後片付けをしていた手を止め、独り言をつぶやきながら食卓の上に放置してあったスマホをポケットにしまう。
洗濯の終わった父さんの作業着を干している最中に結愛花からメッセージが届く。
《ただいま。とわちゃん、今から部屋に来れる?》
「父さん!ちょっと、ゆめん家行ってくる」
炊き込みごはんを入れてもらった器を食器棚に戻し、おばちゃんにごちそうさまとお礼を言ってから、2階にある結愛花の部屋で座り込んだ。
生成り地にピンクの小花模様のカーテン、木製のベッドにはペールピンクで統一された寝具、結愛花のお母さん力作のパッチワークがベッドカバー。
勉強机の上には教科書の横にネイルの小瓶やヘアアクセサリーが並ぶ。あたしの部屋とは大きく違う。