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甘えた
第7章 07
「やったー、莉壱のチキンライス!」

嬉しがるフリも忘れずに。
包丁を置いて、莉壱に場所を明け渡す。

「莉壱の好きな大きさでいいよ」

横から覗き込んで手元を見る。

「包丁使ったことあるんだ?」

「あるよ?調理実習で」

「へぇ。上手だね」

褒める程の包丁さばきではないが、手を切ってしまいそうな危なっかしさは無い。

鶏肉も切ってもらい、下味を付ける。

玉ねぎを炒め始めた莉壱の後ろから、偉そうに腕を組み、肩の上にあごを乗せてフライパンの中を覗く。
あたしの方が5センチ高いから成せる技。

このポジション、楽チンかも。


「鶏肉投下!」

「随分と楽しそうだね?」

先程の酷い仕打ちを忘れ、褒めてそそのかす行為を楽しんでいたあたしは冷ややかな目を向けられる。

そんな視線にもへこたれずに「楽しいよ」と言い返して、莉壱の背中から離れ次の下準備に取り掛かった。

温め直したご飯にバターを混ぜて莉壱に渡し、あたしは卵をボウルに割入れる。

シェフはフライパンを五徳にぶつけ、豪快に音を立てている。チャーハンが出来そうな勢いなんだけど?
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