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甘えた
第8章 08
「あっ!都羽さん。見て見て!仮歯っす」

騎馬戦で莉壱に折られた前歯に仮歯が入ったと、ニィーと笑う。

「あー眩しいっ」

両手で目を覆って大袈裟にふざけたのに、光政は歯が戻ってきて余程嬉しかったのか、ツッコミを入れずにニコニコしている。


「ところで、試験どうだった?」

「ぼちぼちっす。試験勉強出来る暇はあったんで」

光政が暇だったってことは、莉壱に動きは無かったってことかな…

「そうだ。銀河さんが、しばらく都羽さんに任せるって言ってました。銀河さんが後ろに付いてるから大丈夫だって信じてるけど、俺…本当は行かせたくないっす」

不安そうな表情であたしの腕を強く握りしめる。

「大丈夫。ピンチの時には光政に連絡する」

しっかりと光政の目を見据え、頷いた。

「じゃ、あたし任務があるからっ」

再び校門に向かって走り出した。
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