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甘えた
第8章 08
ネギと紅ショウガを刻み、タコをぶつ切りにしタネを作り、テーブルの上に具材を並べタコ焼きの下準備をする。

「これで油塗って?おもしろいよ」

家から持ってきた小さなモップみたいな油引きを渡す。

「めんどくせー」

頬杖を付きながらペタペタとやる気なさそうに塗りたくる。

見兼ねたぴーちゃんが莉壱の手から油引きを奪うと、半球の窪み1か所ずつにクルックルッと手際よく塗っていく。

「ぴーちゃん手慣れてるね。お家でやったりするの?」

ちょっと自慢げにコクコクと頷く。

「へぇーじゃあ、ぴーちゃんに焼いてもらおー」

誰に向かうともなくそう言いながらお皿を取りにキッチンに向かった。

やっぱり、さっきから機嫌が悪いなぁ…スマホでおざなりを検索してみる。

〈おざなり――その場限りの間に合わせで、取り繕った振舞いをする〉

ああ、バレていた。あたしの考えが見透かされていた。っていうか何して欲しいのか、分かんないんだけど…


テーブルに戻り、タネを流して焼き始めているぴーちゃんの横にお皿を置く。ふと足元を見ると私服に着替えたハーフパンツ姿のぴーちゃんの脛に毛が生えていた。

スキンヘッドに対して病気や薬の副作用の可能性も考慮していたが…普通に毛が生えてるんだ?
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