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甘えた
第9章 09
「あ、違っ。これ泣いてるんじゃないから…あれ?なんだろう……あれ?」
慌てて目を擦り涙を拭った。
「都羽、今日はもう帰ろっか」
行き先があたしの家に変更され、家に着くまでの間お互い一言も言葉を交わすことはなかった。
「送ってくれてありがと。莉壱、ほんとに楽しかったよ」
ニッコリ笑ってお礼を言った。
「また、明日。おやすみ…都羽」
莉壱はあたしの手を握って少し悲しそうな顔をした…ような気がした。
車を見送るとあたしは結愛花に部屋に行ってもいいかと電話をかけた。もちろんすぐに履歴は消した。抜かりは無い。
結愛花の部屋に入るとすでにパジャマ姿の結愛花が目ざとく問いを投げかける。
「あれ?とわちゃんお出掛けしてたの?」
「うん。スカイツリーに上ってきたよ」
ベッドに並んで二人で腰かけた。結愛花は石けんの匂いを放ち、少し大人っぽく感じられた。そういえば綺麗になった気がする…はっ!長谷川効果か?!
「もぉー、とわちゃん水くさいんだからぁー、り・い・ちくんのこと!キャ」
「え?」
意表を突かれポカンと口を開けたまま、顔を赤くしている結愛花を見つめた。