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甘えた
第10章 10
「それにあたしだけに任されてもちょっと不安」

「久保に任せるって言ったのは、しつこく狙われてた光政を外すための表向きの指示。光政が外れても他のヤツが動いてるから心配無いぞ」

「それなら良かった。莉壱がわざわざ言いに来たのは長谷川くんたちを油断させるためだと思ったから…」

「そこは考えてある。にしても今回の莉壱の考えが読みづらい。久保も結愛花のためとはいえ、あまり無茶をするな。もう痛い目に遭って欲しくないからな」

うわっー、やっぱり策士だ。多方面に想定して考えて動いてるっぽい。しかも痛い目ってペンキ事件のことでしょ?他人のこと気遣ってくれるなんて優しすぎるー。

「今のところ、無茶はしてないよ」

「あんなんでも俺の弟だからな、まぁ可愛がってやってくれよ?」

おでこにかかる金髪を揺らし、余裕の笑みを見せた。笑った顔は少し莉壱に似ていた。腹違いとはいえ、やっぱり兄弟だ。

「莉壱も長谷川くんのこと大好きみたいだよ」

「そうかもな」

遠ざかる長谷川くんの後ろ姿に向かって
「本当は仲良し兄弟だろっ?!」って心の中でツッコミを入れた。
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