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甘えた
第10章 10
「俺も今帰ってきたとこ。飲む?」

「あるから、大丈夫」

自分の鞄を指さす。

「そうだ、牛乳がそろそろ賞味期限切れになるから飲んじゃって?」

「あ゛?」

ふっは、すごいヤンキー顔。誰もチビだなんて言ってないのに…


あたしは椅子に座りプリントの入ったクリアファイルをテーブルの上に用意して勉強する態勢を整える。
莉壱が隣に座ると、マンションの外観図とモデルルーム公開中の文字が印刷されたうちわを見せた。

「道端で貰った。ふふっ」

莉壱の横顔に向かってゆっくり扇ぐとサラサラの黒髪が微かに揺れる。


「都羽…」


静かにあたしの名前を呼ばれる、扇いでいた手を止め、うちわを胸元におさめた。

「なに?」

「どーして泣いたの?」

昨日の話の続きだよね…あたしも答えられなくて困ったけど、莉壱にも気を悪くさせてしまった。それは反省してます…
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