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甘えた
第10章 10

「へ?」

突然の問いに間抜けな顔で答える。

デートの相手ってことは、好きな人ってことでしょ?
今、ニセモノ任務でそれどころじゃなくて、好きな人なんて、いないんだけど?

そっか。

あの時あたしは、本当のカレカノだとかニセモノだとかって考えてた。
デートは楽しかったけど、ニセモノであることが嫌だった。それが悲しくて悔しくて…

あの涙は、悔し涙だったんだ!

そーだ、きっとそう。あー、すっきりした。

けど、この答えはニセモノ彼氏の莉壱には言えない。


……っていうか、失敗した!

莉壱が彼氏だった!


「莉壱がいいに決まってるじゃん…あはっ。びっくりしたよー、急に変なこと言わないでよー」

慌てて取り繕う言葉を吐き、笑ってごまかした。

莉壱は頭がいい、あたしが自分で気づいてない部分を見抜こうとする。莉壱の勘の鋭さが怖くなり、深くまで探りを入れようとする眼差しに耐えられない。
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