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甘えた
第2章 02
駐車場脇の生垣から家の敷地へ入って行くと立派な日本家屋のお屋敷が現れた。

高級旅館のようなたたずまい。

和服姿のお母さんが出てきたらどうしよう…緊張は最高潮に達した。

「都羽さん、こっち」

光政に手招きされ家の中に通された。

が、お手伝いさんも居なければお母さんも出て来なかった。

あたしは少しほっとして緊張をといた。

「この部屋でゴロゴロしてていいっすよ」

「わかった」

案内された先の障子戸を開けると6畳ふた間続きの和室に十人程の高校生が胡坐をかいて漫画を読んだり、寝転がったり、タバコを吸ったりしている。

高級旅館に来たはずなのに、学校の屋上のたまり場の様な風景がひろがる。

ここはいったい……

あちらこちらから「うぃっす」「ちぃーっす」と声が聞こえ、寝転がっていた子はとりあえず体を起こしてあごを前に付きだす。

一応礼儀正しいのか?

「こんにちは。お邪魔します」

誰にともなく挨拶をし、とりあえず空いているスペースに座る。

しかし、この部屋はくさい…タバコと男臭さと整髪料だか香水だかの匂い、お菓子やお弁当の匂いが入り混じった臭いを放っていた。

女の子も二人居た。どちらも男の子にしな垂れかかり、うふうふ、キャハキャハと話をしている。
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