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甘えた
第2章 02
この世界…きっとあたしの父さんの青春時代と同じだ…昔の写真や父さんの思い出話を聞くとまさにこんな感じ。

不良の世界。

仲間とつるみ、バイクを乗り回し、女の子をナンパして、喧嘩と聞けば飛び込んで、楽しかったって父さんは言うけれど…

ここに居る子たちは、ちっとも楽しそうじゃないよ?

かったるそうにどろーんと、だらーんとしてるだけ。

近くでぼーっとタバコを吹かしてる男の子に声をかけてみた。

「ねぇ、この部屋臭すぎない?」

「そーお?」

タバコ吸ってちゃ、わかんないか…

「窓開けさせてもらうね」

窓を大きく開けると、暖かくて新鮮な空気と青い草の匂いが舞い込んでくる。

少し落ち着いたところで、暇を持て余したあたしは大学入試用の問題集をひらく。

今、あたしは大学進学を希望する受験生だ。

頭のレベルは中の中、目指してる大学だって普通のレベル。

でも、それは関係ない、大学に入ってやりたい事を学ぶことが重要だと思ってる。

「大学行くの?」

ぼーっとタバコを吸っていた子が話しかけてきた。

長い前髪の奥から目尻の下がった可愛い目を覗かせている。
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