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甘えた
第10章 10
「あはっ。そうだね、知らないことばっかり。あたしが知ってることは…頭が良いでしょ、器用でしょ、オムライス作るのが上手でしょ、ちょっと優しいとこもあって、友達思いでしょ、通りすがりの女の人が見惚れちゃうくらいイケメンでしょ、甘えたがりでしょ、んーと、あっ兄がいる」

「最後のは余計」


悪いところの方がいっぱいあるけど、そこは一先ず置いといて…知り合ってから感じた莉壱の良いところを並べ上げた。
ふふっと笑いながら聞いていたけど、やっぱり『兄』という言葉に嫌悪を示した。


「ねぇ、聞いてもいい?」

「どーぞ」

少し気を良くしたのを見越して、長谷川くんのことを聞いてみることにした。

「誕生日っていつ?」

「6月8日」

「もう一つ聞いていい?」

「ん」

「莉壱も子供の頃、向こうの家で一緒に住んでたんでしょ?あたし達どっかですれ違ったりしてたかな?そうそう、中学の時にさ、長谷川くん家にお手伝いさんがいるって噂でみんなで騒いでたんだよ」

「俺は家族3人でこっちの家で暮らしてた」

「あれ?長谷川くんは?」

腹違いとは聞いていたけど詳しくは知らない。

「あー、8歳の時に突然、兄だって紹介された」

莉壱がイラっとしだした。
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