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甘えた
第11章 11
「なんでそんなヤツに優しくするの?放っとけばいいのに」

莉壱に向き直る。

「知ってる人?」

「……顔は…」

やっぱり知り合いだったのか…チームの仲間?仲間に対してこの仕打ちは信じ難かった。

「やり過ぎだよ…こんなに殴られたら痛いでしょ?莉壱の手だって痛いでしょ?」

さっきまで振り上げていた方の手を取り、指の付け根のゴツっと飛び出た骨の辺り…拳頭を擦る。

「……助けてくれてありがと。あたしの為だったんだよね?でもいきなり──

「そうだよ?もう、帰ろ。カレールー買えたの?」

人の話を聞いてねぇー!これから説教しようとしてたのに。

「ほらっ」

中辛と書かれたカレールーの箱を目の前に掲げた。

「もう、煮えてるかな?」

「ん?火にかけっぱなしで出て来たの?」

「そうだよ?」

「莉壱。それ絶対だめ!出掛ける時は火は必ず止めることっ!」

「弱火にしたよ?」

「それでも、ぜーったいにだめ!急ごっ、帰るよ?!」

ダンサー男に「お大事に」と声を掛け、火にかけたままの鍋が気がかりな部屋へと走った。
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