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甘えた
第2章 02
あたしとケンジはドライブがてら少し離れた街のラブホテルへ向かうことにした。

「都羽ちゃんて見かけによらず軽いんだね?」

「そうなのかな?でも、誰でもいいってわけじゃないよ」

「ははっ。俺、可愛い子なら誰でもいいよ。いろんな子と楽しみたいからワンナイトラブが大好きなんだけど、都羽ちゃんもそう?」

「あたし初めての相手が体育会系の人でね。セックスはスポーツだ!って刷り込まれたの。笑っちゃうよね。だから、あたしのセックスには恋愛感情は必要ないんだ。一度寝たからって好きでもない人に恋人面されるのも面倒くさいし…」

「あーそういう女性いたわー。女性ホルモンを出すんだ!ってエステやジム感覚でセックスするんだって」

本人は百人斬りって冗談めかしていたけど、あながちそれは嘘じゃないかもしれないと思えるほどの女性遍歴をおもしろおかしく暴露する。

「へぇ色んな女性がいるんだね…なんかさー沢山の女性を知ってるってアンタの強みじゃない?」

「そう、俺は愛の伝道マスター!なんちって」

「あはは。色んな女性を攻略する業っていうの?口説き落とすテクニックとかさ、女性から話を聞きだすテクニックとか…アンタと話してたら思ったんだけど、そういうのに、たけてるんじゃないかなって。あたしも初体験の人の話ペラペラしゃべっちゃったし。そういうテクニックって仕事に生かせそうじゃない?」

「あー営業職とか?」

「物を売るってだけじゃなくて消費者のニーズを読んだり、人と人を繋ぐパイプ役とか?そういう才能持ってるってだけで強みだよね」

「俺にも才能なんてもんあるのかなぁ…」

ケンジはホテルに着くまでの間、それっきり黙り込んでしまった。
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