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甘えた
第11章 11
「都羽…」

プリントを見つめながら悶々と考え込んでいると、不意に頬を手繰り寄せられた…唇が重なり、口の中に冷たい甘さが広がってくる。

「…っん!」


顔を離し、くすっと片側の口の端を上げて笑う莉壱。
その表情を見た途端、あたしはテーブルに突っ伏して、額を2回打ちつけた。
こんなに意地の悪い笑い方をするのはあたしに対してだからだ…彼女に向ける笑顔はきっと可愛い。

あっー?!あたしが部屋に来ていなければ、このイチャイチャは彼女としているはず?

「あははっ。どーしたの?キーンときた?」

はっ!まだ時間あるし、今あたしが帰れば、すぐに彼女を呼べるんじゃ……
テーブルの上に広げた勉強道具を鞄の中に無造作にしまった。

「か、帰るね。お邪魔しました」

小走りで玄関に向かう。

「都羽?!……待ってよ」

靴を履こうとした瞬間、莉壱に腕を引かれバランスを崩し、あたしの体は後ろ向きに傾いた。


「わっ!」 「あぶなっ!」


莉壱の支えが間に合わず、派手な音を立て二人して廊下に尻持ちをついた。

「ごめん!大丈夫?」

あたしを足の間に挟み、後ろから抱き抱え、痛みに顔を歪ませながらもあたしの体を心配してくれる。

「莉壱こそ大丈夫?」

下でクッションになってくれた為、あたしはどこも打たずに済んだ。すぐさま荷重がかかった体を離そうとしたが、ぐるりと廻された腕が許してくれなかった。
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