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甘えた
第12章 12
「うっ、く……莉壱…」

止まっていた涙が再び零れ出す。

「昨日…見てた。ひっく…莉壱が…女の子と歩いてるとこ」

「それ、ぴーちゃんだったでしょ?」

「うん。ぴーちゃんだった…ずぴっ」

「くすっ、女と一緒だと思ったんだ?それでヤキモチ焼いたんだ?」

「莉壱の彼女だと思った」

玄関で莉壱に抱き留められながら、頭からバスタオルを被ったあたしは女の子そのものだった。


「都羽可愛い…可愛い都羽を抱いていい?」


あたしの頬に作られた道筋に唇を付ける。
そんなこと聞かなくていいのに……散々あたしの都合もお構いなしにしてきた人が今更聞くの?

「ん?」

誘いかける様な笑顔で返事を催促する。
は、恥ずかしい…こんな時、なんて返事すればいい?
ちょーーっ!いつものあたしはどこに行った?!

熱くなる頬が恥ずかしすぎて、バスタオルの端で口元を隠しながら俯き加減にコクコク頷いた。

「ん?」

あ…莉壱の笑顔が意地悪くなった…言わせようとしてるっ!
ははっ、でも莉壱らしい…ちゃんと答えさせないと気が済まないんだよね?
頭に乗ったバスタオルを退けて肩に落とす。


「いっぱい…抱いてほしい」

莉壱の捲れ上がった色っぽい上唇に吸い寄せられるように顔を寄せた。
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