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甘えた
第13章 13
駅の改札を抜けたところで電話が鳴った。

莉壱だっ。

嬉しさにトキメキながらスマホの画面を見ると光政だった。
このガッカリ感、光政に伝えてやる!

「ふぁ~い?」

「都羽さん!今どこ?」

「帰ってきて駅前に居るんだけど?」

「そこに居ろ!車で迎えに行く」

「あ?なんで?」

「結愛花さんが拉致られた…」

「あはは。大丈夫だよー、さっき長谷川くんと一緒に居たもん」

「いや、その後だ。たった今銀河さんから連絡があった」

「うそ…」

ほんの1時間前だよ?え?何?どーいう事?
ついさっきホテルのラウンジで二人が仲良くしていた光景をグルグルと頭の中に巡らせ、「ありえない、ありえない」と唱え、迎えに到着した光政に声を掛けられるまで呆然と立ち尽くしていた。

「都羽さん、大丈夫か?」

支えられながら車の後部座席に座らされる。

「足が痛い…」

買ったばかりのサンダルで靴擦れが出来たのか、慣れないヒールで疲れたのか、足が急に重くなった。

朦朧としたまま、ガサガサと袋を漁りバレエシューズを取り出して履き替えた。
人はパニックに陥った時、訳の分からない行動を意外と冷静にするのだろうか……
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