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甘えた
第14章 長い一日
「うん。ポンポンだけだよ」

「久保、俺は結愛花を見つけて抱きしめた時、何もされてないって確信した。結愛花のことだから何かされてたら男の俺を拒否して押し退けるはずだからな」

ってことは莉壱は本当に結愛花を助けただけ?

「良かった…」

心の底からホッとして結愛花を抱きしめた。

あたしの嫉妬心が解放されたってのも少しはあるけど、目の前にいる結愛花が傷つけられないで良かったと思う方が大きい。

「俺はあの現状を見ただけで莉壱の言い分も聞かずに自制が利かなくなってしまった。それを謝っておいて欲しい」

「うん、とわちゃん。あたしからも、助けてくれてありがとうって伝えてくれる?」

「あたしが?二人で直接伝えてあげた方がいいよ?今、向かってるんでしょ?」

車は都心に入り6車線の広い道路を走っていた。

「久保、頼まれてくれないか?俺たちはこれから病院に行くから」

置いてきたはずの合鍵のついたライトグレーとピンクのファー、助手席から振り返る長谷川くんがあたしに手渡す。

「俺が使うつもりで持って帰ってきたんだが、莉壱が託したやつだろ?」

莉壱の部屋のあるビルの地下駐車場で一人だけ降ろされた。
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