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甘えた
第14章 長い一日
ぴーちゃんを見送った後、ひとりダイニングテーブルのあたしの席につく。

たった数日来なかっただけで、この席は居心地が悪い。何が真実か分からなくなって、あまりにも色んな感情に振り回されて…

ぴーちゃんの話を信じるならば、莉壱は最初から策略など無く、純粋にあたしを好いてくれてた。

本当のところはどうなんだろう…
どんな顔して会えばいいんだろう。


「ぴーちゃん?」

目を覚ました莉壱がぴーちゃんを求めて名前を呼んだ。まるで自分が呼ばれたかのように振り返ったあたしは大きなベッドに近づく。

「ぴーちゃんは帰ったよ。具合はどう?莉壱」

いきなり訪れた再会の瞬間に、思いのほか冷静に対応出来た。
それとは反対に、ベッドサイドから見下ろすあたしを見て、泣きそうな顔をしたのは莉壱だった。

「あぁ……」

両手で覆うように顔を隠す。

「えっと、謝りに来た」

はぁっと息を吐くと覆ってた手を外し、痛みに顔を歪めながら起き上がってベッドに腰掛けると、手を伸ばしてあたしの腰を引き寄せた。

そして足の間に挟み込むとおなかにおでこを付ける。頬の傷のせいでいつものように顔が埋められない。

「都羽…もう来てくれないかと思った」

「うん。来ないつもりだった。あたしのことを本気にさせて面白がってるんだと思ってすっごいショック受けてたから。長谷川くんと結愛花を傷つけて面白がってるんだと思って激怒してたし。でも、違ってたね。結愛花のこと助けてくれたんだってね、ありがとう。あたし……莉壱の事全然信じてなかった…ごめんなさい」

正直な気持ちを一気に吐き出す。
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