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甘えた
第3章 03
週末になった約束の日。

一度家に帰り私服に着替える。細身のデニムパンツに黒のVネックのカットソー、そして通学で履いているスニーカー。

光政たちの迎えの車に乗り込み倉庫へと向かった。

薄暗い倉庫の中は相変わらず浮かれ上がった騒々しい音と声と熱気が充満していた。

光政の後をついて部外者立ち入り禁止の階段を上ると、屋根に近い部分の10畳程のスペースにたどり着く。

簡素に鉄パイプの柵でぐるりと囲ってあるだけ。

長谷川くん家で見かけたことのある人がすでに二人待機していた。

「うっす。来てるよ」

彼らが光政に向かって話をしだしたから、あたしは一人、柵に近づき下のフロアを覗き込んだ。

人で溢れ返るフロアの全体が見渡せた、薄暗さの中で顔までははっきりと見えないが大体の様子をつかむことは出来る。

長谷川くんが不参加の今日は小さなハーレムがいくつか輪を作り女の子の甲高い声が沸き上がっている。

男女のグループがあちらこちらで楽しそうに盛り上がりをみせる中、同性だけのグループもあった。まだまだ時間は早い。

警備っていうから何かと思ったら、ここで見張りをしてたんだ。

今まで大きな問題も無く開催してこれたのは、この警備のおかげなのだろう…

こんな事まで考えるなんて、不良といえども、長谷川くんは人の上に立てる力量を持った男なのかもしれない。

そんなことを考えながら、壁際で一人たたずむ男性たちに目を移す。
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