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甘えた
第3章 03
いつもあたしは身を隠すように壁際を歩き、この男性たちに声を掛けている。

今日はここから物色しよう……ざっと視線を滑らせて目星をつける。

あのスーツを着た人がいいかも。

話を終えた光政が隣に並ぶ。

「光政は下に行かないの?」

「俺は警備っすから」

人懐っこそうな笑顔で答える。

「行ったらハーレムできるんじゃない?」

後輩だからか純情そうに見える光政をからかってみた。

「何話していいか、わかんないっす。それに俺には必要ないっす」

「そなんだ」

出会いの場が必要ないってことは彼女がいるってこと。

純情で硬派か…ふふっ、あたしと正反対だ。

「あたし下に行ってくるね」

「えっ?」

「そのために連れて来てくれたんじゃないの?」

「あ…えっ?」

くすっ。暗くてよく見えないけど、きっと光政の顔真っ赤だ。

動揺してる光政を置いて階段を下りスーツ姿の男性へ向かった。
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